N経済研究所

海底の奥深く 財宝は静かに横たわる

Tuesday, March 21, 2006

気狂い

高校も3年を過ぎるころ、夜に自宅の電話が鳴った。「恵子ちゃんよ」と母親にニヤニヤされながら呼ばれる。
 参ったなぁと思うのは恵子と言うのは、小学校の同級生で会った子しかおらず、その恵子と喋ったことすら無かったばかりか、彼女は非常に暗い子で暮らすの同級生どころか教師とも喋らない子であったのだ。
 自宅の電話に同級生の女から電話と言うのだから性欲の塊の年代としては、愛の告白、そしてSEXと単純に胸が膨らむが、参ったなぁと思うのはその恵子がクラス1,2を争うあまり好みではない子であったことと、前述の理由からである。

 しかし、思春期の少年の傲慢な思いはあっけなく裏切られる。明らかにテンションが高すぎるのである。私が「はい」と言って電話に出てからその電話が終わるまで延々と30分間彼女は喋り続け、その内容は、私はヤングマガジンと言う大衆漫画雑誌の表紙を飾るグラビアモデルになったから是非見て欲しい、是非抜いて欲しいとまでは言われなかったが、是非、是非、是非、是が非でも見て欲しいと絶対的な自信をもって言うものだから、あの恵子がなぁ。ありえないよな。と思いつつも、もしかしたら中学3年間で激変したのかもと思い近所のコンビニへと向かったのであった。

 テクテクっと夜のコンビニへと歩いていくと外から雑誌コーナーが見える。おー守、信二、啓太、なんて一種の小学校の同窓会のようになっていたが、先に来ていた連中が見てもどうも恵子とグラビアモデルのなんたらさやかという、南国の海でおっぱいを霧吹きで湿らせて笑ってこちらを見ている女が同一人物とは思えないと言う結論になった。
 しかし、こちらも全く意味が解らない、そんなすぐ解る嘘をつく理由も無いし、もしかしたら可愛くなったのかもなと思い直して帰宅したところ今度は恵子の母、名前は忘れたが結構艶っぽい声の女性と言っても当たり前だが40代後半と言うおばさんから泣きながら謝りの電話が有った。

 「うちの娘はちょっとおかしくなってしまったの」そう言いながら泣きじゃくる母親をよそに、彼女は天真爛漫に電話をかけ、校舎から飛び降り、手首を切った後、最近では、今まで働いたことも無いと言う40代の亭主を見つけて娘と3人でプレイステーションと言うゲームをやって暮らしている。

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